大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和37(オ)295 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人佐藤源次郎の上告理由第一点について。

原判決の引用する第一審判決の認定した事実関係の下において、被上告人の所有

権の行使は権利濫用にあたらないとした原判決の判断は正当であり、これに民法一

条の解釈を誤った違法は認められない。所論違憲の主張も前提を欠き、論旨はすべ

て採用しえない。

同第二点について。

借地法一〇条は、借地権譲渡につき、土地賃貸人の承諾があれば適法に従来の借

地権を取得しうる地位にある第三者が、賃貸人の不承諾のため借地権者となること

ができない場合に、建物保護のために第三者に買取請求権を与えた規定である。従

って同条の適用があるのは賃貸人の承諾があるならば第三者において従来の借地権

を取得しうる場合、換言すれば借地権の存続中において第三者が建物等を取得した

場合であることを要するものといわなければならない。原判決の引用する第一審判

決の確定した事実によると、本件土地の賃借人であるDの所有する地土建物が滞納

税金のため公売に付され、訴外Eがこれを買得したので、本件土地の賃貸人である

Fは昭和二八年五月九日右Dに対し借地権の無断譲渡を理由として土地賃貸借契約

を解除したところ、その後である同年九月に上告人が右地上建物の所有権を取得し

たというのであるから、上告人に建物買取請求権が存しないとした原判決の判断は

正当であって、借地法一〇条の解釈を誤ったとの論旨は理由がない(昭和二九年六

月一七日最高裁判所第一小法廷判決、最高裁判所裁判集民事一四号四四一頁参照)。

所論引用の昭和九年四月二四日大審院判決は、借地権が消滅しない間に地上建物の

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所有権および敷地賃借権が転々譲渡されても最後の建物所有者に買取請求権がある

旨を判示するものであり、また昭和一四年八月二四日大審院判決は、地上建物取得

当時敷地賃借権が存すれば建物買取請求権が発生し、その後になされた民法六一二

条による解除によっては消滅しない旨を判示するものであって、いずれも事案を異

にし本件に適切でない。

同第三点について。

土地賃貸人がいわゆる譲渡承認金を受領して土地賃借権の譲渡を承諾することは

世上往々にして行われるところであるが、承諾を欲しない賃貸人も譲渡人ないし譲

受人からいわゆる譲渡承認金の提供があった一事をもって承諾をすべき義務が発生

するとの慣行ないし慣習法の存しないことは証拠調をするまでもなく顕著である。

この点に関する上告人の主張を排斥した原判決の判断は結局正当であるから、審理

不尽の違法があるとする論旨は採用しえない。

よって、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致

で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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